MCIとは、認知症になる一歩手前の段階で、認知機能低下の自覚があるものの、日常生活は問題なく送ることができている状態のことです。日常生活に支障が出始めると認知症の状態にあると判断されます。
MCIでは記憶力に軽度の低下が見られる場合が多く、以前と比べてもの忘れが多いと感じたり、周囲の人からもの忘れを指摘されることが多くなった人はもの忘れ外来への受診をおすすめします。ただ、日常生活に支障が出ていない場合が多く、今後必ず認知機能が低下するというわけではありません。MCIは健常な状態と認知症の中間の状態であり、MCIから1年で認知症に移行する人もいれば、1年で健常な状態になる人もいます。そのため、早期から認知症予防の対策を行っていくことが大切で、適切な認知症予防策を講じることで、健常な状態への回復や認知症への移行を遅らせることが期待できます。
認知症のリスクを低減するために、適度な運動、健康的な食生活、脳を活性化するレクリエーションや趣味、そして地域社会とのかかわりを持つ「当たり前のこと」が何より大切なことと言われています。認知症予防とは、認知症の発症をゼロにする、進行を止めるものではなく、認知症の病気の進行を遅くすることです。もし、認知症に関することで不安に思うことがありましたら、かかりつけ医や高齢者支援センターなどへご相談ください。
「『あたまとからだを元気にする MCIハンドブック』(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター)を参考」